●BELLの歴史

ロサンゼルス郊外で小さな四輪パーツショップを立ち上げ、 のちにベルオートパーツ社のリーダーとしてヘルメットの開発に尽力した人物、ロイ・リクター。

1950年代前半、サーキットでは頭部損傷による重大な事故が相次いでいた。
自身でもレースチームを持っていたロイは、より安全なヘルメットの必要性を感じ、ベルオートパーツ社の一部門として1954年にヘルメット部門を設立。
会社の敷地裏にあるわずか車一台分の広さの木製ガレージが、BELLの出発点となった。

そこで彼が初めに行ったのは、世界中のヘルメットを出来る限り集め、研究することだった。
そして、新たなコンセプトを併せ持つ最高品質のヘルメットを作り出すために、全力を尽くすのである。
プロトタイプの製作に何ヶ月もの時間を費やし、遂に第一作目となるヘルメット「500」が誕生。
これ以降、この「500」というモデル名は、ハイエンドモデルの代名詞として多くのヘルメットメーカーに採用されることになる。

ベルヘルメット発売から1956年までの販売数量は、ロイと彼のチームが予想していた数字を遥かに上回った。
この成果によって、1957年に新たにベルヘルメット社が設立されるのである。
そして、「500-TX」というオートバイヘルメットの歴史において最も革新的なアメリカンヘルメットの誕生へと続いていく。
「500-TX」は、ヘルメットの安全基準として世界一厳しいとされる、アメリカのスネル規格をクリアした初めてのレーシングヘルメットであり、その事実が華々しい成功の大きな要因となった。

1967年、ベルヘルメットはオートバイヘルメット界に第二の革命を起こす。開発に五年もの歳月をかけ、世界初のフルフェイスヘルメット「スター」を発表したのである。
時代の最先端を行く「スター」のデザインは、宇宙仕様だとも近未来の物だとも騒がれた。
ただあまりにも斬新すぎるデザインと、顔全体を覆うフルフェイスの形状を拒否するライダーがいたこともまた事実だった。
しかし、えも言われぬ魅力を放つ「スター」にライダーたちは次第に引き込まれ、数年後には全てのプロライダーがこのフルフェイスヘルメットを愛用するまでに成長する。
また、ベルヘルメットの技術力の象徴であり、最高傑作とも言える「スター」は、他のヘルメットメーカーのデザインに大きな影響を与え、今日においても全てのフルフェイスヘルメットのデザインは、この「スター」シリーズに由来しているのである。

記憶に残るレースシーンでは、常に「BELL」の赤い四文字が輝いていた。
「500」の誕生以来、BELLは四輪・二輪問わずモータースポーツ界で信頼され続けてきたヘルメットである。
ロイが掲げた、『最高品質のヘルメットを作る』という目標は、現在でも最先端の製品を作り続けることで守られている。

オートバイヘルメットの歴史を語る上で欠かすことの出来ない偉大なる革新者、それがロイ・リクターであり、またBELLなのである。